貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
「これでなにが買えるかはみんなに聞くわ。初めてのお給料だし、あなたにもお土産を買ってくるわね」

「お気遣いなく。アスナシルクという木の実で作ったジャムが好きです」

「お気遣いしてほしいんじゃない。いいわよ。探してみる」

 その後、ナディアはエセルと別れてすぐにゲルハルトの執務室へ向かった。午後の仕事が残っていたからだ。

 丁寧に窓を磨きながら、ふと部屋の主に声をかける。

「この後、ほかのメイドと出掛けてくるわ」

 珍しくナディアが話しかけたのを意外に思ったのか、ゲルハルトが彼女を振り返った。

「そうか。特に報告は必要ないが」

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