貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
「一応、あなたつきのメイドだから伝えておこうと思って」

 濡れた布で窓を拭い終えてから、乾いた布を擦る。

 話しながらもてきぱき仕事をするナディアは、とても子爵令嬢に見えない。

「もし手持ちに余裕があったらお土産を買ってこようかと思うんだけど、迷惑かしら?」

 ナディアはエセルだけでなく、アウグスト夫妻やゲルハルトの分も用意する気でいた。

 ゲルハルトは少し考えた様子を見せると、藍色の瞳をそっと伏せる。

「おまえはよくわからない生き物だな。俺がどんな態度を取ろうと、気にしていないように見える」

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