貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
「気にしていないわけじゃないわ。でもあなたが嫌っているのは〝人間〟であって〝私〟ではないでしょう?」

「普通はそれに対して、もう少し思うところがあるはずだが」

「それはあなたの常識であって、私の常識ではないからね」

 よし、とナディアが小さく声をあげる。

 磨き上げた窓が光に反射して輝いていた。会心の出来だ。

「私からすればあなたのほうがわからないわよ。喋らないからなおさらなんだけど」

「話したいなら話しかければいい。おまえをいないものだと思って仕事をしているが、無視する気はない」

「前は構うなって言ってなかった?」

 ナディアの純粋な問いに、ゲルハルトが口をつぐむ。

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