貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 灰の塔で命を落とした最期は、ナディアにとって過去でも未来でもある。

 ナディアは目の前の男が、意外なほど真面目に話を聞いてくれていたのだと知った。

 そして自分が、思っていた以上にゲルハルトに自身の話をしていた事実にも。

「……目が覚めた気分だわ」

 そっと頬に両手を添え、ナディアはつぶやいた。

「そうよね。死なないために生きようと思っていたけど、せっかくなら新しい人生を楽しんだほうがずっとお得だわ」

 ジャンに捨てられないよう、灰の塔へ送り込まれないよう、彼に気に入られるために努力をした。

 結果的にナディアはエスタレイクへ追放された。

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