貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 フアールへ戻ろうとしてはいるが、戻った先でどう生きるかといえば、おそらくまたジャンにすがる生き方を選んでいただろう。

 それ以外の道を知らないからだ。

「嘘でも『わかった』って言ってほしいんだけど、いい?」

「なんだ、急に」

 ナディアは様々な思いでいっぱいになりながら、ゲルハルトに問う。

「もし私が死にそうになったら、助けに来て」

 今のナディアには、あの時と違って味方がいる。

 アウグスト夫妻やメイドたち、あとはなんだかなんだ言いながらエセルもかな力してくれるのではないかという気がしていた。

< 203 / 498 >

この作品をシェア

pagetop