貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 だからジャンにすがらなくても、もっと言ってしまえばジャンと敵対関係にあるままでも生きていけるのではないかと、今さら気づく。

 ゲルハルトは驚いたように目を丸くしていた。

 そうすると少しだけ幼く見え、ナディアの胸に奇妙な親近感を生んだ。

「わかった。……これでいいのか?」

「それ、本気で言ってくれた? それともとりあえず合わせてる?」

「おまえが嘘でもいいと言ったんだ」

「聞くだけ聞いておきたかったのよ」

 嘘だとしてもゲルハルトはナディアの願いをかなえてくれた。

 ナディアの頬が赤く色づいて、淡い熱をはらむ。

「意味がわからない女だな」

 ふ、とゲルハルトが微笑した。
< 204 / 498 >

この作品をシェア

pagetop