貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 実際、エセルの直属の部下である蛇獣人たちは全員健康体だ。普段はエセルに命じられて雑務をこなしているようだが、今だけは直接街に降りて市民たちに支援を行っている。

「薬はないの? せめて症状を緩和させるものとか」

「今のところは。部下に調べさせてはいますが、もうすこし時間がかかりそうです」

「それまでは私たちでなんとかしなきゃいけないわけね」

「お手伝いいただけますか?」

「もちろんよ。日頃の恩を返す時がきたわ」

 張り切るナディアをエセルは変わったものを見るように見つめる。

「怖くないのですね。まだかかっていないだけで、人間にこそ重篤な症状が出るかもしれないというのに」

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