貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 ゲルハルトが再び咳き込んで熱を出すまで、ふたりはもう少しだけ他愛ない話をした。



 ナディアがエセルから呼び出されたのは、それから数日が経ってからだった。

「急ぎの話だって聞いたけど、なにかあったの?」

 ゲルハルトとの仲が改善した件を耳にしたのだろうかと考え、なぜか気恥ずかしさを覚える。

 しかしエセルは難しい顔をしていた。

「薬に必要な素材と製造方法がわかりました」

「よかったわ! これで安心ね。あなたも今日まで本当にお疲れ様」

「また休めそうにはありません。ちょっとした問題のせいで」

 エセルがテーブルの上に置かれた布袋を示す。

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