貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 ゆえに厨房の奥にある穴の存在を知っていていいはずがないし、知っているわけがない。

(あれは夢なんでしょう? だって、もしそうじゃないのだとしたら……)

 自身の手をぎゅっと握り締めたナディアだったが、そこでふと自分が夢の終わりに願った内容を思い出した。

『もし、もう一度やり直せるなら』

『次はもっとジャンに尽くそう。捨てられてしまわないように……』

 目の前がぐらりと揺れて倒れそうになるも、そばに控えたメイドに心配されないよう必死に堪える。

(ありえないわ。ありえない。願った通りにもう一度やり直しているなんて!)

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