貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 しかし何人かに薬を与えたところ、問題なく回復している。

 彼らが本格的に動けるようになれば、調合自体をナディアにやらせずともよくなるだろう。

 あれが猛毒に変わるのは鱗を持つ獣人だけなのだから。

「薬を完成させたのは昨日だったか? いつから眠っている?」

「昼を迎える少し前から今に至るまでずっと眠っていますね。既に一日半目覚めていません」

 それぐらいならば眠りが深いだけではないかと、普段のゲルハルトなら言っていた。

 ましてや相手は人間だ。目覚めないというならそれでもかまわないと、面倒な客人の沈黙を喜んでいただろう。

 だが、今回に限ってそうはならなかった。

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