貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 あまりにもナディアのぬくもりが心地よい。

 自分からも求めたくなって、髪に隠れた人間の耳に指を滑らせると小さな声がこぼれた。

「思ったよりくすぐったいのね、びっくりしちゃった」

 普段発しない声を恥じらったのか、ナディアが慌てたように言う。

 ゲルハルトは素直に今の声をもう少し聞いてみたいと思った。

 獣人たちとの誰とも違う形をした耳をなで、耳のふちをくすぐってやわらかな耳朶を軽く引っ掻く。

 ぴくりと反応したナディアが嫌がるように頭を振るも、気にせず続けた。

「あ、あの、いつまでやるの?」

 ナディアはとっくにゲルハルトの耳から手を離している。

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