貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 だから奇妙な触れ合いもすぐに終わるものだと思っていたのに、なぜか愛なが止まらない。

 興味を持っているとか楽しんでいるならまだしも、ゲルハルトは真顔だった。

 再びゲルハルトの中で本能がささやく。

 今やナディアの声も抵抗も頭に入ってこなかった。

 衝動に引きずられるがまま、獲物が逃げないように背中へ腕を回し、顔を寄せてたった今まで触れていた場所に噛みつく。

「……っ!」

 驚いたナディアが声にならない悲鳴をあげた。

 甘噛みだったため痛みはないが、指で触れられるよりももっと落ち着かない気持ちで背中が粟立つ。

< 288 / 498 >

この作品をシェア

pagetop