貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
「あのね、私は食べてもおいしくないのよ。アウグストの作る料理のほうがずっと──ひぁっ!?」

 噛みつかれるだけでなく舐められたナディアは、今度こそ叫んだ。

(こんなこと、夫だったジャンにもされてないわよ!)

 もしこれがあの男だったならばナディアはもっと抵抗していた。

 ゲルハルトだから対処に困っているのだ。

 理由もなく突然こんな真似をするような人物ではないし、なによりナディアはなぜかこの行為に不快感を覚えていない。

 ひどく甘い気持ちに引きずられ、自分が自分でなくなるような感覚が怖いだけだ。

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