貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 水音が近すぎる場所で響くたびに、あられもない声が漏れるのも恥ずかしくてたまらない。

「ゲルハルト様っ!」

 夜だろうとかまうものか、とナディアが声を張り上げてゲルハルトの肩を掴む。

 そうしてようやく、ゲルハルトの動きが止まった。

「……今、俺はなにをしていたんだ?」

「私の耳を舐めたの!」

 腕の力が緩んだのを感じ、ナディアは勢いよく後ろへ飛びすさる。

「ななななんでこんなことをしたのよ……!」

「俺にもわからない。おまえに噛みつきたくなって、それで……」

「お腹が空いてるんじゃないでしょうね……?」

「人間など頼まれても食うものか」

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