貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 ナディアも動揺しているが、ゲルハルトも同じだった。

 彼女に触れているうち、妙な気持ちになって噛みつきたい衝動に襲われたのだ。

 触れさせるなという本能には抗えたのに、甘美な衝動には抗えず行動に移してしまった。

 一度実行してしまえば、より強くナディアの香りが鼻孔を刺激して止められなくなる。

 体温が上がったナディアの身体は、ゲルハルトを惹きつけてやまない甘い芳香を漂わせていた。

 このまま自分のものにしてしまいたいという未知の欲求は、間違いなく生まれて初めて感じたものだ。

「悪い。こんな真似をするつもりはなかった。本当に触れるだけでよかったんだ」

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