貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
「そもそも発端はおまえがいきなり俺に触ろうとしたからだ、というのは忘れたらしいな」

「私は舐めなかったわよ!」

 忘れようとしていたのに思い出してしまい、またナディアの頬が赤く色づく。

 再びゲルハルトは抗いがたい香りを感じるが、今度は自分を制しきった。

 これ以上踏み込めばナディアはもう触れさせてくれなくなるだろう。そして自分も戻れなくなる。

 そう感じさせたのもまた、彼の本能だった。

「あまり強く掴むなよ。それと、つけ根のほうも触るな。他人に触れられてうれしいものではないんだ」

「じゃあやめたほうがよさそうね。嫌がる人に無理強いはしたくないもの」

「おまえならいい」

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