貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 意味を問う前にゲルハルトはナディアが触りやすいよう横を向いた。

 黒い狼の尾が誘うようにゆらりと揺れ、悩んだ末にナディアはそっと指先でふわふわの毛をなでる。

 今度はナディアの思っていた通りの感触があった。

 手の中で逃げようと揺れる尾は、冷たい印象を与えがちなゲルハルトからするとかわいらしく見える。

 獣人の尾に触れるという未知の体験に夢中になっていたナディアは、ふとなぜゲルハルトがここまで許す気になったのかと考えた。

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