貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 ナディアしか知らない前世を口にしたところで、異常者だと思われるのが関の山である。

 話を聞いたゲルハルトは黙っていた。

 エセルと共感した、ナディアに感じる奇妙な前向きさ。

 後悔なく生きたいとでもいうかのように、彼女は思いのまま行動していたように思う。

 ナディアの言葉が嘘だろうと本当だろうと、なにかしらの切実な思いを胸に過ごしていたのは間違いない。

 泣きそうな顔で笑うナディアを見て、ゲルハルトの胸が締めつけられる。

 彼女にそんな顔をさせたくないという、優しさとは違う感情があふれた。

「ここにいる限り、もう二度とつらいとは言わせない」

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