貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 王妃の身でああなったのもジャンが偽りを吐く人々を信じたからで、ナディアの話を聞いてくれなかったのは、夫婦としてあるべき愛情がお互いになかったからだ。

 ならばもう一度あの瞬間を迎えた際にジャンが信じてくれるよう動けばいい。

 自分の思考をまとめるため、紙に書き記していたナディアの手が止まる。

(本当にそれでいいのかしら。ジャンのために生きる、で合っている?)

 思考を振り返ったのは一瞬だけで、ナディアは首を左右に振ってから最後まで考えを書ききった。

(正しいはずよ。だってジャンに捨てられなければ生きていられるんだもの)

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