貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
人間嫌いの黒狼王

「最近、王子殿下とはいかがですか?」

 夜会にて何度そう声をかけられたかわからない。

 招待された貴族たちは皆、新興貴族であるリシャール家を羨み、疎み、妬んでいる。だから社交界で浴びる視線は気持ちのいいものではない。

 どんな話でも話題の種にしたい人々に同じ質問を向けられ、ナディアは内心苦笑していた。

(一度目もこんな感じだった。あの頃の私はちゃんと全員の相手をしたけれど)

 今日もまた婚約者のジャンに連れられ、彼女は夜会に参加していた。

 表向きには侯爵が主催したことになっている。しかし実際はジャンの指示によるものだった。

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