貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 いつからゲルハルトをこんなにも特別視していたのだろうと、胸の高鳴りを押さえられなくなる。

(あなたも同じように思っていてくれたらうれしいわ)

 心からの願いはまだ本人に伝えられない。

 この冷たくも温かな国で生きていくうちに、いつか口にできればいいと思った。

 ふたりのダンスが終わると、今度は集まった獣人たちも輪を作って踊り出す。

 誰もが皆、楽しそうに笑っていた。

 ナディアの知る社交界は、表向きは華やかでも裏でひっきりなしに情報戦が行われ、とても本心からの笑みなど見せられる場ではない。

 改めてよい国だと思った時だった。

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