貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
(どうして気づかなかったんだろう。そうよ、似ているんだわ)

 自分の未来を掴み取るために必死で、自国に訪れる未来までは考えなかった。

「あの薬をフアールへ送れる? 人間に効果があるとは限らないけど、あちらの医者がうまく活用してくれるかもしれないわ」

「そこまでしてやる必要があるのか?」

 口を挟んだのはゲルハルトだ。

 ナディアを特別扱いしても、ほかの人間に対して冷たいのは変わらない。

「それで改善されれば恩を売れるわよ。今回のジャンの件も含めて」

「いいですねえ。貿易も有利な条件で進められそうです」

 エセルが乗り気になり、ゲルハルトが苦笑する。

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