貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
「ナディアの好きにすればいい」

「ありがとう。この件は私が直接陛下に文を書くわね」

 もしこれによってフアール王の死を回避できるなら、またひとつ未来が変わる。

 ナディアはすぐフアールへ送る文の用意を始めた。



 牢獄は普段使われていないこともあって、お世辞にも清潔とは言いがたかった。

 嗅覚の鋭い者が多い獣人たちは黴臭い場所を嫌い、命じられるまで場所を整えようと思わなかったのである。

 冷たい石づくりの牢獄の一番奥に、ジャンとコリンヌが囚われていた。

「おや、ずいぶんとおとなしくなりましたね」

 隣り合った牢獄で膝を抱えていたふたりは、にこやかに言ったエセルを見上げる。

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