貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 彼らはエセルの手足であり、本来体質に合わないエスタレイクでの生活を受け入れている忠誠心の厚い者たちだった。

 数はたった四人しかいない。しかし陰に紛れて表に出せない仕事をするにはちょうどいい人数である。

 しゅう、とエセルが喉を鳴らした。

「ナディア様は三十日間こちらで過ごしてもらえばそれでかまわないと仰った。ですが私も陛下も、それですませるつもりはありません」

「なにを……」

 不穏な空気を敏感に感じ取ったジャンが、冷たい壁に背中を押しつけて距離を取ろうとする。

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