貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
「早く俺の匂いになればいい」

 嗅覚の鋭いゲルハルトはナディアに自分の匂いをつけたがった。

 だから積極的に擦り寄って、頭や顔を触ったり、首筋に噛みついたりする。自身の寝床に押し込んで毛布でくるのもそうした理由があった。

「ねえ」

 子供をあやすようにぽんぽんと頭をなでられたナディアが問う。

「ずっと聞こうと思ってたんだけど、今までに人間と結ばれた獣人っているの?」

 エスタレイクに来てから、ナディアは多くの獣人の夫婦と知り合った。

 その筆頭がアウグスト夫婦だ。彼らのように大半の獣人たちは同種族で夫婦関係を築いている。

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