貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
五人はナディアを主人として慕っており、現在も国王夫妻の幸せを心から、そして全力で祈っている。彼女たちに仕事を命じた、エセルと同じく。
「でも、そろそろお掃除の時間じゃない?」
ファロがすんすんと鼻を鳴らしながら言う。彼女は無意識に匂いを確認する癖があるようで、よくこんなふうにした。一番小柄なネズミのミーチェは、ファロのそんないつもの癖にもびっくりしてしまうのだ。
「誰が行く?」
アイメが身を乗り出して言う。
「五人で、じゃない?」
サリは落ち着かない様子で、部屋をうろうろと歩きながら答えた。猪獣人の彼女は、おとなしくしているのが苦手なのである。
「誰かが部屋の様子を見に行ってからのほうがいいかも。またおふたりの邪魔をしたら、エセル様にお説教されちゃうよ」
ミーチェは先日、五人の身に起きたことを思い出して身体を震わせた。