貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
『だからどうしてすぐに噛むのよ……!』

『ちょうどいい位置にお前の耳があるのが悪いんだろう』

『それがおかしいじゃないの。あなたはちょうどいい場所に耳があったら、それが誰のものだったとしても噛むの?』

『誰彼構わず手を出すと思っているのか? 俺がそうしたいと思うのはお前だけだ』

 部屋の前に立った五人のうち、四人はすぐに状況を理解した。

 今は、まずい。

 しかし悲しいかな、ここには考えるよりも先に行動してしまう猪獣人のサリがいた。

彼女は硬直した四人には気づかず、いつものようにドアをノックしてしまったのだ。

「ナディア様ー、お掃除に参りました!」

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