貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 部屋の中で聞こえていたふたりの声がぴたりと止まる。

 それを皮切りに、四人は極限まで声を潜めてサリをドアから引きはがした。

「ちょっ……! 前と同じことをしないでよ!」

「今は絶対だめな時だったでしょ!」

「え、なにが?」

 四人の慌てた表情を見ても、サリはよくわからないといった様子で首を傾げる。

 そうこうしているうちに、ドアが開いた。

 妙に息を乱し、頬を染めたナディアは、五人の姿を認めて気まずそうに苦笑いする。

「ええと、今日の掃除は自分でやっておくわ。メイドとしてのいい勉強になるだろうし」

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