貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 彼女は王妃でありながら、夫のゲルハルトの専属メイドとしても働いている。もっとも、今はエスタレイク王妃としての様々な公務にも携わっていた。

 意外と性に合うから、と彼女は言うが、この城に──否、この国に生きる者たちはその言葉が照れ隠しだとわかっている。

 ──少しでもゲルハルトのそばにいたい。

 熟したベリーのような甘い赤紫の瞳には、いつも最愛の夫が映っているのだ。

「でも、それだと私たちのお仕事が──」

 サリが困ったように言いかけたのを、残りの四人が必死に抑え込む。

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