貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます！～二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?～

　こんなにも甘い表情で微笑む男だっただろうか。そもそも、笑顔など数えるほどしか見たことがないような気がしてならなかった。

　甘すぎる夫婦のやり取りを見たせいで、サリ以外の四人は改めて自分たちのやらかしに気づいた。

「お掃除はまた明日にしますー！」

「この辺りには、しばらく誰も近づかせないようにしますので！」

「食堂でお茶してます！　なにかあったら呼んでください！」

「それではごゆっくりー！」

　ちょっと、とサリが訝しげな顔をするも、四人は彼女を引きずって全速力でその場から逃げ出した。