貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 ナディアが灰の塔に投獄されたのはふたりによって、身に覚えのない罪を問われたせいだ。

『王妃殿下から、コリンヌ様の夜会用ドレスを引き裂くよう命じられました』

『コリンヌ様のお飲み物に毒を盛るよう、王妃殿下に密命を受け……』

『たんまり金を積んでくれたぜ。コリンヌ妃を殺せば倍額払うって話だった』

 自身を糾弾するジャンによって召喚された見知らぬ人々の声は、まだナディアの耳に刻まれている。

(私はなにも知らないわ。コリンヌを殺そうなんて思ったこともないのに)

 耳を塞ぐも、すぐそばで囁かれているかのように声が消えない。

< 5 / 498 >

この作品をシェア

pagetop