貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 ジャンは婚約者に浮気相手との逢瀬を見られても、構わずコリンヌの身体を抱き締めていた。

 コリンヌはというと、そんなジャンの胸に顔を埋めてナディアを見ないようにしている。

 いかにも弱々しく、守ってやりたくなるのもわからないではない。

 二十歳のジャンが年下のコリンヌを庇おうとするのは理解できるが、彼女の年齢はナディアよりひとつ上の十八歳だ。

「いいから消えてくれ。俺が今、なにをしているか見えないのか?」

 その言葉はナディアの中にあった多くのものを打ち砕いた。

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