貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 前世で彼の耳に自身の言葉が届かなかったのは、彼への愛情と誠意が足りていなかったからだと思っていた。だからどんなに違和感を覚えようと、ふたりが邪魔者の王妃を排除するために灰の塔へ送り込んだのではないと思おうとしたのだ。

 しかし、現実はどうだろう。

 ジャンはナディアに対して声を荒らげ、大事そうにコリンヌを抱いている。

 ふたりの甘いひと時を邪魔したナディアこそが許されざる敵なのだと、その顔にはっきり書かれていた。

(あれはやっぱり見間違いじゃなかったのね)

 灰の塔へ送られるナディアに、コリンヌは悲しみを訴えた。

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