貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 あの時の笑いを噛み殺すような表情を振り返って強い虚無感に苛まれる。

 ナディアがあんな最期を迎えるよう仕向けたのはこのふたりで間違いない。

 国王によって定められた結婚でなければ、もっと早い段階で捨てられていただろう。

(私の知らないところで会って、こそこそ共謀していたのね)

 二度目の人生にて知った事実を前に、思わずナディアは彼らに背を向けていた。

 薄々気づいていた真実を突きつけられてつらいからか、悲しいからか。少なくとも怒りではない。

 いっそ彼らを糾弾して問い詰めるほどの強さがあればよかった。

< 59 / 498 >

この作品をシェア

pagetop