貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
「どうやったらあの人は私を見るのよ。このままだと死んじゃうわ」

 ゲルハルトは口を閉ざしてナディアの涙を拭い、彼女が話したいように任せていた。

 泣いているせいで非常に聞き取りづらくはあったが、断片的な情報から涙の理由を悟る。

「つまり、なんだ。おまえが泣いているのは好いた男を奪われたからではなく、自分の死を予感しているからなのか」

 まだ涙が止まりそうにない彼女は、ふた言目には死にたくないと言った。

 婚約者を奪われてしまい、いずれ殺されると。

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