貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 話の繋がりを理解するのは難しく、ゲルハルトは雑に『人間だから』と自身を納得させた。自分たちと違う生き物なのだから、考えを理解しようとしてかなわないのは当然だ。

「そうよ、死にたくないの。もうあんなに苦しいのは嫌……」

 ゲルハルトにそう言ってから、ナディアは改めて自分の中にジャンへの気持ちがないのだと知った。

 愛しているから取り戻したいのではなく、ただ死にたくないからやり直したい。

「大して好きでもない男ならば捨ておけばいい」

「だめよ。好きじゃなくても気に入られなきゃいけないの。じゃなきゃ、私」

「愚かだな」

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