政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜


 帰宅後、すぐにトムヤムクン作りに取りかかった。

 ハーブ類をはじめとする食材を切り、有頭海老は頭を割り尾は残し、殻をむいて背ワタを取り出す。

 むいた海老の殻は乾煎りをする。海老の香ばしさを出すこのひと手間がスープを美味しくするには大事だと今日のレッスンで先生が話していた。

 海老の香ばしい香りがしてきたら鍋に水を加えスープのベースを作り、そこに用意しておいた材料を加えて煮込んでいく。灰汁を取り除きながら最後に牛乳、海老の身を入れ、海老が綺麗な色に変われば完成だ。


「……うん、美味しくできた」


 出来上がりを小皿に取り味見をしていたとき、玄関に帰宅の気配を感じる。

 手を止めキッチンを出ていくと廊下の途中で帰宅した拓人さんに鉢合わせた。


「おかえりなさい」


 出てきた私を目にするなり、拓人さんは両手を広げて抱きしめてくれる。

 私のほうからも遠慮することなくぎゅっと抱きしめ返した。

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