政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜
Epilogue
夏の暑さもやわらぎ、秋の涼しさを感じ始める十月。
朝晩は冷え、羽織るものが必要になってくる時期だ。
あの沖縄での一件後、拓人さんの心配からしばらくRENJYO TOKYOでのホテル住まいを送った。
となりに三栗谷夫妻が住むあの部屋で、いつ顔を合わせてもおかしくないからだ。
しかし、早急に新たな住まいをと探してもらっている最中、三栗谷夫妻が先にとなりから引越していった。
その後すぐ、拓人さんから衝撃的事実が告げられた。
顧問弁護士より知らされたのは、三栗谷夫妻が多数の夫婦から訴えられているということが発覚したというのだ。
夫婦揃って既婚者を相手に不貞行為を繰り返し、その結果裁判を起こされる事態にまでなっていると報告があった。
とんでもない話を聞き、自分の身に降りかかったことを思い返してゾッとした。
拓人さんと私も、あのふたりのターゲットにされていたということだったのだ。
あとでわかったことは、あの沖縄のパーティーで早苗さんは私へ渡したドリンクに睡眠薬を混入していたという。
睡眠薬の混入は立派な傷害事件となるらしく、実行した早苗さん、共犯となる隆史さんは警察による事情聴取を受けた。
その後、事を大きくしたくないという私の希望で、互いの弁護士を通じて示談という形になった。
警察沙汰とまでなった今回の件で、三栗谷夫妻はマスコミの格好の餌食となり、ふたりが代表を務める会社も窮地に立たされてしまった。