政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜
「すみません、主人は今不在でして」
「そうですか。こちらには、ご主人とおふたりで?」
奥様のほうに質問され「ええ」と答える。
「うちも主人とふたりなんです。同じですね。どうぞよろしくお願いします」
「はい。よろしくお願いします」
玄関先で挨拶を終え、踵を返したふたりの背中を目に玄関を閉める。
いただいた挨拶は、銀座に本店を構える有名な高級和菓子店のものだった。
こんなハイグレードマンションに引っ越してくるんだから、今のご夫婦もすごい肩書きの持ち主なんだろうな。
そんなことを思いながらダイニングテーブルに紙袋を置いたところで、今日使ったバッグの中に入れっぱなしにしているスマートフォンが着信しだしたのが聞こえた。
いそいそとリビングのソファに置いたバッグに近づき、スマートフォンを手に取る。
拓人さんからだ。
「はい」
『茉莉花。家にいるのか?』
「はい。います」
『そうか。仕事の予定が早められたから、今日帰れることになった』
「そうなんですか?」
『ああ。もうすぐ着くよ』
「わかりました。お夕飯の支度して待ってますね」