政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜


「おはよう」


 朝食の準備でキッチンに立っていると、すでにスーツに着替えた拓人さんに声をかけられた。


「あっ、おはようございます。早いですね」


 時計を見るとまだ七時前。

 及川さんは九時に迎えにくると言っていたから、まだ眠っていても問題のない時間だ。


「すぐ食べますか?」

「いや、茉莉花のタイミングで構わないよ。急がなくていい」

「じゃあ、もう少ししたら出しますね」


 朝食の準備を続けながら、コーヒーを淹れる。

 拓人さんには何も入れず、自分の分にはお砂糖とミルクを入れた。

 毎朝、拓人さんはリビングに出てくるとタブレット端末で新聞を読むのが日課。

 国内外の様々な情勢を知り得るのも大切な仕事のひとつだと言う。

 新聞は小学生の頃から読んでいたというから驚きだ。


「ありがとう」


 タブレットを眺める拓人さんの前にコーヒーの入ったカップを置く。

 一緒に朝のコーヒーをいただこうと、斜め向かいのソファに腰かけた。


「はい、わかりました。あ、そういえば……昨日、おとなりに引っ越されてきたご夫婦がご丁寧に挨拶に来てくださって」

「となりに? そうか」

「三栗谷さんというそうです。私たちと同じくらいのご夫婦だったかと」


 そんな話をしながらコーヒーに口をつけた。

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