政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜
「すみません、これ。ケーキなんですけど。甘いもの大丈夫でしたか?」
キッチンに入っていく早苗さんに紙袋を見せ伺う。
「ありがとうございます。主人も私も好きです。あ、そこのケーキ美味しいですよね」
港区にある人気パティスリーの、一日限定三十個のメロンショートケーキ。上質なメロンをふんだんに使った贅沢な一品だ。
そこのパティシエと拓人さんが仕事関係の知り合いで、通常は予約できない限定ケーキを、特別に連絡を入れれば用意してもらえる。
早苗さんは「食後に出しますね」と紙袋を受け取った。
ブラックのダイニングテーブルには、すでに数々の料理が用意されていた。
サラダにオードブル。ローストビーフやパエリヤが並ぶ豪華な食卓だ。
「茉莉花さん、座ってください」
キッチンからワインクーラーに用意したワインを運んできた早苗さんは、通りがかりに「拓人も、ほら座って」と拓人さんを肘で小突いていく。
その様子を横目にちらりと入れながら、お言葉に甘えて席へとつかせてもらった。