政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜
食事が済み、ゆっくりお酒を嗜む雰囲気になると、それぞれが席を立ち上がる。
拓人さんは隆史さんとグラスを片手に窓辺で歓談している。
早苗さんはケーキを用意しにキッチンに引っ込んだため、下げてよさそうな食器をキッチンには入らないようにカウンターに返却していった。
「茉莉花さん、ありがとう。座ってて。今、ケーキ出すから」
「何かお手伝いできることがあれば言ってください」
「大丈夫。お客様は座っててね」
早苗さんの言葉に甘え席に座り直す。
すると、斜め前の席に隆史さんが戻ってきた。
窓辺に目を向けると、拓人さんはスマートフォンを耳に当てている。きっと仕事関係の連絡だろう。
そのうち、手にしていたグラスをダイニングテーブルへと置き、リビングダイニングから足早に出ていってしまう。
「茉莉花さんは、どちらのご出身で?」
「え、あ……私は、京都に実家が」