政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜
えっ……?
見てはいけないものを覗いてしまったような気分に襲われ、慌てて身を引っ込めた。
ちょっと待って。今、触ってなかった……?
拓人さんのそばには、なぜか早苗さんの姿が。
それだけでも疑問の光景なのに、早苗さんの手が拓人さんの腕に触れていたのだ。
見てしまった光景が、鼓動を激しくさせていく。
気配を消したまま踵を返し、静かにお手洗いの扉の内側へと入った。
ひとりの空間に留まり冷静になってみると、なぜ私が隠れなくてはいけなかったのかと自分をひどく責め始める。
いくら古くからの友人とはいえ、人の夫に触れるなんて言語道断。
妻の私が出ていって文句を言ってもまったく問題のないことだ。
でも、文句を言うどころか、咄嗟に隠れ、気づかれないように立ち去っていた。