政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜
今日ここにお邪魔してから、早苗さんが拓人さんにボディタッチをしたのを見たのは二度目。
一度目は食事前に席を勧めたときで、そのときは目に入れつつもあまり深く考えず気にしないでおいた。
しかし、今見たのは流せる状況ではない。私のいない場所で、寄り添うように腕に触れていたのだ。
早苗さんだって、結婚して夫のいる身。それなのに、隆史さん以外の人に触れるなんてあってはならないことだ。
私はそう思うけれど、仲の良かった友人なら普通のことなの?
女子校を卒業してきた私には、これまでの人生で異性の友人がいたことがない。
だから、その感覚が掴めないだけなのかもしれない。
そこまで考えて、ハッとする。
勝手に友人と信じ込んでいたけれど、もしかしたら恋人関係にあったとか……。だとすれば、あの距離感も納得できる。
もやもやとしたまま、お手洗いのとびらの内側でしばらく佇む。
「茉莉花さん?」
すると、お手洗いの向こうから早苗さんの声が聞こえた。