政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜


 建築士と現場での打ち合わせを終え、スマートフォンを見ると、茉莉花からのメッセージが入っていた。

【お仕事お疲れ様です。今日は朝から焼きプリンを作りました。作りすぎました。今から教室に行って、買い物して帰ってきます】

 一緒に作ったというプリンの画像もついていて、思わず笑みが浮かぶ。

 婚約当初、茉莉花はこれまであまり料理をしてこなかったと正直に話していた。

 でも、しっかり学んで美味しいと言ってもらえる食事を作りたいと言ってくれた。

 その言葉通り、いや、言葉以上に茉莉花の料理は美味しくて、今は自宅で食べる食事が一番好きになった。

 こうして、気まぐれで作った料理を撮影して送ってくれることがあるが、帰りたくなるから困ったものだ。


「副社長、夕方の羽田行きが押さえられそうですが、いかがしましょうか?」


 及川が航空券の手配について訊いてくる。

 予定では明日の朝に那覇空港を発つ予定でスケジュールを組んできたが、東京に戻れる早い便が取れるという。


「そうか。それなら……」


 そこまで言いかけて、言葉を留める。

 早く帰って茉莉花と過ごそうと思ったものの、その気持ちを踏みとどまった。

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