政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜


「私たちがいないから、向こうもよろしくやってるかもしれないわね。うちの主人、結構積極的だから」


 そんなこと、あるはずない。茉莉花が俺以外の男となんて。

 絶対的な自信があるはずなのに、あの初夜の一件が不安を煽る。

 俺には許せなかったことも、他の誰かならもしかして……。

 よからぬ考えが駆け巡って、慌てて頭の中から余計な想像を取っ払った。


「酔っ払ってたってことで、今日のことはなかったことにしてやるよ」


 絡みつく腕を引き離し、ソファを立ち上がる。

 足早に客室を出、スマートフォンを手にした。


「……お疲れ様。やはり、さっき言っていた今日これからの便で東京に帰りたい。手配は可能か?」


 及川に連絡を入れ、帰宅の変更を依頼する。

 早く茉莉花の顔を見て安心したい。その気持ちだけだった。


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