政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜
悩みを見透かされて
クッキングスクールの授業を終えてスマートフォンを見ると、拓人さんからメッセージが入っていた。
今日の仕事が終わった知らせと、送ったプリンについて【明日帰ってもまだ食べられるかな?】という意味で嬉しいメッセージについ顔が綻ぶ。
そのまま返信画面にして【お疲れ様でした。プリン冷やしておきます】と返した。
帰りがけにマンション近くのスーパーマーケットに立ち寄り、食材の買い出しをしていく。
調味料類が同じタイミングで切れていったせいで、必要なものを買い込んだらなかなかの重量になってしまった。
両手にエコバッグを持ち、マンションのエントランスに入る。
あまりの重さに手が痛くなってきて、エレベーターを待つホールで荷物を床に置いてしまおうと思っていたときだった。
「あれ、茉莉花さん?」
名前を呼ばれて顔を上げると、ちょうど隆史さんがエレベーターホールに入ってきたところだった。
時刻的にも、スーツという装いからしても、仕事帰りといったところだろう。