政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜
「こんばんは」
「こんばんは。荷物、重そうだね。大丈夫?」
早速荷物について指摘され、はははっと笑ってエコバッグの取っ手を握り直す。
「お醤油とか料理酒とか味噌とか、一気に切れちゃって、まとめて買ったのは良かったんですけど結構な重さになってしまって」
「運ぶよ。ほら、貸して」
「あ、いえ、大丈夫です」
遠慮したものの、隆史さんはあっという間に私から買い物の荷物を取ってしまう。
「お隣なんだから、遠慮することないよ」
そうこうしているうちに、エレベーターの扉が開く。
荷物と共にエレベーターに入っていく隆史さんに、「すみません、ありがとうございます」とついていった。
私が口にしたお礼の後、ふたりきりのエレベーター内は沈黙が流れる。
ほんの少しの時間のはずなのに、普段より時間が長く感じる。
それは、男性と個人的に接した経験の少ない私が無駄に緊張しているからだろう。
横顔に視線を受けている気がして顔を向けると、隆史さんがじっとこっちを見ていた。目が合った途端、にこりと微笑まれる。