政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜
十八時五分前にエントランスに出ていくと、マンションの車寄せに迎車のタクシーが到着していた。名前を告げて乗り込む。
運転手はRENJYO TOKYOに向かうことを私に告げた。
行き先が知らされ、途端に鼓動が早鐘を鳴らし始める。
RENJYO TOKYOに訪れるのは、あの結婚初夜以来。
私のせいで気まずい雰囲気になり、苦い思い出が残る場所になってしまった。
尻込みしてしまいそうだけど、今日はあの日のことを挽回できるぐらいいい時間を過ごしたい。
タクシーがホテルの立派な門をくぐり抜け、エントランス前のロータリーに入っていく。
もうすぐ停車するタクシーの後部座席から、入口付近に立つドアマンを見ていると、中から出てきた人影に彼らが深く頭を下げた。
「あっ……」
そこに現れたのは拓人さんで、思わず声を漏らしていた。
オーダーメイドのスーツを着こなす長身は、遠目から見ても視線を奪われる。
私の乗ったタクシーが車寄せに停車し、拓人さんがその前までやってきた。
開いたタクシーの後部座席前から手を差し出される。