政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜
「おはよう」
「ごめんなさい。起こしちゃいましたね」
「いや、実はもう起きてた」
そう言ってくすっと笑った拓人さんに抱き寄せられる。
「そうだったんですか?」
「さっき一回ベッドも出てる。五時前くらいに」
「え、全然気づかなかった」
素肌が密着して温かい。
少し前はこうしてひとつのベッドに入ってもお互いに窺いながら距離を保っていて、一緒にいても寂しくて切なかった。
だから、今こうしてお互いの体温を感じられるようになったことは幸せでしかない。
「朝ごはん、何がいいですか? 和でも洋でも用意できますけど」
「まだ行かないでほしい」
朝食の質問には答えず、拓人さんは私を抱きしめ直す。
あの夜から、拓人さんも遠慮なく私を求めてくれるようになった。
何かが吹っ切れたように積極的で驚いているけれど、拓人さんによればこれが本来の拓人さんだという。
私の気持ちを尊重し気遣ってくれての距離間だったけれど、本当は片時も離さず可愛がりたかったと言われたときは顔から火が噴き出たかと思った。